ネパール人をナンパした話

 

2年ほど前、焼肉屋でネパール人の男性をナンパしたことがあります。

 

ちびという後輩と私の妹との3人でビールを流し込みながらくだらない話をしているとき、通路を歩く一人の男性店員さんに目が釘づけになりました。

 

なんだあの男前は。日本人ではなさそう。東南アジア系?もうどこでもいい。

 

ちび「ねえ話聞いてます?」

妹「ん?ちょっとあの人格好良くない?」

私「ちび静かにして。声かけるわ」

 

無視しないで!と喚くちびを完全に無視して、サンチュを持ってきたところを話しかけました。

 

私「すみません、おいくつですか?あと失礼ですけども、どこの出身ですか?」

「ん?ネパールだヨ」

 

3人「ネパール?!」

 

そのとき私たちはおそらく、同じことを考えていました。

ネパールってどこだっけ。アジア?むしろアジアってどっからどこまで?あれ?馴染みなさすぎて分からん。

ネパールさん(と呼びます)は私たちの困惑した顔つきから察したように、笑みを浮かべて、「ヒマラヤ!」と爽やかに言いました。

 

3人「ああ!」

 

いやどこ。もうどこでもいいや。

 

私「あの、明日のお昼空いてます?」

 

ネパールさんは特に驚くそぶりも見せず、「うん、空いてる」と普通に答えてくれました。普通すぎて一瞬たじろぐも、間髪入れずにたたみかけます。

 

私「じゃあ明日の12時に新宿のライオンのとこ来れますか?ランチしましょ」

 

ネ「うん、12時ネ。わかった。」

 

妹「いいの?!」

 

ネ「いいよ?じゃあ明日ネ」

 

唖然とした様子のちびと笑い転げている妹を無視し、逞しい彼の後ろ姿を眺めながら私は、脳内でクローゼットをひっくり返して着ていく洋服を考えていました。

 

続きます。